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2006.10.31 ホイールアライメント講座 VO2

アライメントの種類

今日では、アライメントといえば4ホイールアライメントの事を指すものだと思われがちですが、アライメントの測定・調整方法にもいくつかの種類があります。

各角度個別のアライメント トータルトー前輪・後輪(トーインゲージ)

1mm単位で測定するので、精度的に不正確。トータルトーのみしか測定できないので、車両直進状態に対してのハンドルセンターを出す事はできません。

フロントホイールアライメント 前輪のキャスター・キャンバー・トーの測定・調整する方法です。

車両のジオメトリックセンターライン(幾何学的中心線)を基準として、前輪のトーを測定・調整する方法。この方法が従来使用されてきた方法であり、後輪が幾何学的中心線に対して直角に取り付けられていれば満足できるアライメントを提供することが可能です。しかし、車両の後輪が幾何学的中心線と異なるスラストラインを形成している場合、フロントエンドのステアリング系のセンターが狂うので、車両直進状態に対してハンドルセンターを出す事はできません。

4ホイールスラストラインアライメント 後輪で決定されるスラストラインを基準に前輪のアライメントを測定・調整する方法です。

スラストラインアライメントでは、まず左右後輪の個々のトーを測定し、これらのトーによって形成されるスラストラインを基準線としてフロントアライメント(トー)を測定・調整する方法です。結果として車両直進状態に対して正しいハンドルのセッティングが行えます。ただし、左右ホイールのトー(前輪、後輪とも)は、車両の幾何学的中心線に対して左右対称にはなりません。したがって、スラストラインと幾何学的中心線が食い違うときには、車両が直進しているときに後方から見ると斜めに走っているように見えます。

デラックス4ホイールアライメント

デラックス4ホイールアライメントは、現在最も進んだアライメントサービスです。まず後輪の個々のトーを(車両の幾何学的中心線に対して)測定し、次にメーカーの仕様にあわせ調整します。この調整をすることにより、後輪のスラストラインを車両の幾何学的中心線に一致させます。従って、前輪は、幾何学的中心線に一致したスラストラインを基準に測定・調整されることになります。この結果、デラックス4ホイールアライメントでは、4輪すべてを平行(幾何学的中心線に対して左右対称)な状態にセットし、直進状態におけるハンドル及びステアリング系のセンターを確保します。

4ホイールアライメントの必要性

  • 近年、自動車メーカーによる足回り機構の技術革新が進み、4WS・4WD等従来の整備技術では対応できない車両が増加し、また後輪アライメントの調整機構を備える車両が増大している為。
  • 現在の乗用車では燃費を改善する為に軽量化が進み、モノコックボディが大半をしめ、構造上シャシ構造の車両と比べ、前後輪両方のアライメントが狂いやすくなっている為。
  • サスペンションの四輪独立懸架化にともない、縁石への乗り上げ、悪路走行等により、各々のホイールが単独で勝手な方向に向いてしまい、アライメントが狂ってしまう為。
  • FF車の場合、前輪が後輪を引っ張って走行する為、後輪アライメントの狂いが高速走行安定に大きく影響を及ぼす、現在の自動車は乗り心地をよくする目的から、多くのゴム製部品を足廻りに使用し、路面からの衝撃を和らげています。これらのゴム製部品が経年変化により変形したり、磨耗することによりアライメントが狂ってしまいます。
  • 新車購入時から数ヶ月すると、これらの部品が馴染んできてアライメントが変化することもよくあります。
  • 車両の高級化、高性能化にともない走行性能及び走行安定性を求めるユーザーの声が多く聞こえるようになり、これらユーザーの要望に応える為。
  • 上記にともない高価な高性能ワイドタイヤ、大径ホイールを装着するユーザーが増加している為。
  • これらのタイヤは一般的にグリップ性能向上の目的からやわらかい材質を使用しているため、従来のタイヤに比較して15〜30%早く磨耗してしまいます。また同じキャンバー角であった場合、ワイドタイヤの方が片べりが目立ちやすく、より正確なアライメント調整が必要となります。

    安心と安全の確保に大きな影響力を持つ4ホイールアライメントシステムを導入し保証販売を実施する、ニッポンもそんな時代が訪れたと言えます。

    次回につづく By藤田ピョン

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