Check Point イメージ
2005.10.27 フロントナックルアーム EF、EG、EK、DC用
FFの場合、駆動、操舵、制動と、ドライバーからの指示がすべて、このナックルアームを介して路面へと伝えられています。
そこで今回は、フロントナックルアーム周りのパーツをスムーズに動作させる為のチェックポイントと簡単な構造説明をしてみたいと思います。
見落とされがちですが、安全の為にも要チェックです。

こちらがナックルアーム本体です。
画像上がホイールハブ、ハブベアリング、ボールジョイントを抜き取った状態です。外見上損傷が無いかを目視点検し、同時にアームの長さをスケールやノギスを使い点検します。
クラッシュ等による変形、また個体差により左右で高さが違う場合が多々あります。左右の高さが均等でないと、キャンバー角に左右差が発生してしまいます。
左右に差がある場合は、交換、又は調整して組付けを行います。
こちらがハブベアリングです。インナーレースを取外した状態です。
ベアリングはアウターレース、ボール、リテーナー、インナーレース、ベアリンググリスにて構成されています。アウターレースがナックル本体に圧入され、インナーレースにホイールハブが圧入されています。
ボールを支えているリテーナー部分が樹脂製ですので、熱の影響により破損している場合や、グリス漏れやシール不良により内部が焼き付けをおこしている場合があります。分解の際は要チェックです。

ところで、このハブベアリングは、すごく重要な働きをしています。お気づきでしょうか?
車重は車軸によって支えられています。前軸重と後軸重をプラスした重さが車両重量となります。FF車の場合、車両重量が1000kgだと、フロントが600kg、リアが400kgの重量配分になっています。(停車時)
では走行中はどうでしょう?加速・減速・コーナリングにより、前後、左右へと常に荷重変化をおこし走行しています。
これがサーキット走行になると、さらに大きな過重を受けて走行していることになります。それに加え、ハードなブレーキングによって発生する熱によるストレスをも受け続けながら車重を支えてくれる働きものなのです。

つづいてホイールハブです、ベアリングインナーレースに圧入される部分に擦り傷等、摩耗がある場合は交換をお勧めします。
ハブボルトについても、カジリや変形がある場合は交換です。
油圧プレスにてベアリングを抜き取っているところです。抜き取り後、洗浄、組付け、ペイントをします。
ボールジョイントを、ぐるぐると手で回し重さの確認をします。
重さに変化がある場合はブーツを外して内部を点検して下さい。
ブーツを外してみて、←の画像の様な場合は即交換です。
ボール部分を支えている部分の樹脂パーツが破損している場合があります。
不具合の場合、フラフラとわだちの上を走行しているような症状が出ます。
ボールジョイントの交換は、こんな感じでバイスに挟み込んでSSTを差込みハンマーでショックをあたえ抜き取ります。
意外と簡単に抜き取れます。
これはRハブが走行中に破損したものです。劣化による金属疲労が原因です。
Rブレーキローター部分がホイールに取りついたまま壊れています。こんな事も時にはあります。

エンジンやミッションをチューニングしていっても、意外と見落としているポイントが、実はこのハブ廻りのメンテ、チューニングです。
エンジン 〜 ミッション 〜ドライブシャフトを介して、このハブ廻りへと力が伝達され始めて走行が可能になります。
レーシングカーでは、少しでも回転抵抗を低減するために、ベアリング内部のグリースの成分等を調整したり、ボール部分の球面精度をあげ、コーティングするなど実はいろんな仕掛けをしています。回転抵抗を低減するチューニング技術は意外と未知の世界があるかもしれませんね???
これからもいろんなアイデアをテスト&トライし情報を公開していきます。
今回はここまで。次回へとつづく。                        By藤田ぴょん
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